【完全解説】イチゴ栽培の三大病害と最新対策技術「ナノバブル水」の効果と可能性
イチゴ栽培において収量と品質を大きく左右する「病害対策」。特に日本全国のイチゴ農家が悩まされているのが「うどんこ病」「灰色かび病」「炭疽病」の3つです。
本記事では、これらの主要病害について、最新の知見に基づいた症状・原因・従来の防除方法を解説した上で、次世代の防除資材として注目されているナノバブル水による改善効果や今後の可能性について、科学的根拠と実践事例を交えて詳しく紹介します。
うどんこ病（Powdery Mildew）とは？
原因菌：
Podosphaera aphanis（旧称：Sphaerotheca macularis）などの子嚢菌。
症状と被害：
- 葉や新芽に白い粉状のカビが発生。
- 光合成の阻害、生育停滞、奇形果の発生。
- 被害が進行すると収量・品質が著しく低下。
発生しやすい環境：
- 湿度が高く、日中の温度差が大きい施設環境。
- 春から秋にかけて多発、特に閉鎖型ハウスで深刻化。
従来の対策：
- 硫黄剤やDMI系殺菌剤による薬剤防除。
- 空気の循環や湿度管理による環境制御。
- 耐性菌問題からローテーション散布が推奨される。
ナノバブル水による効果が期待される理由：
- 酸素ナノバブル水や帯電型ナノバブル水が葉面の病原菌に接触、感染抑制を促進。
- 香川県農業試験場の報告では、実際に発病率が軽減された事例あり。
- 根圏への酸素供給による植物の体力・抵抗性の強化も併せて期待される。
灰色かび病（Gray Mold）とは？
原因菌：
Botrytis cinerea（不完全菌）
症状と被害：
- 花や果実に灰色のカビが発生し、腐敗が進行。
- 商品価値が大幅に低下、収穫ロスにつながる。
- 感染が進むと圃場全体への広がりも早い。
発生環境：
- 高湿度（85%以上）かつ気温15〜25℃で多発。
- 開花期に感染し、果実熟期に症状が顕在化する。
従来の対策：
- イプロジオン、ストロビルリン系などによる予防的薬剤散布。
- 花殻除去や換気強化などによる湿度コントロール。
- 多剤耐性菌の発生により化学防除の限界も。
ナノバブル水での改善効果が期待される理由：
- 海外の研究では、収穫後の洗浄により腐敗が4日以上遅延。
- 葉面散布では、植物表面の微生物バランスを整える間接効果も報告。
- 安全性が高く、残留の心配がない点も利点。
炭疽病（Anthracnose）とは？
原因菌：
Colletotrichum acutatum, C. gloeosporioides, C. fragariae など
症状と被害：
- 果実に黒褐色の斑点が現れ、急速に崩壊。
- 株元に感染した場合は萎れや枯死を招く。
- 発見が遅れると短期間で圃場全体に拡散する。
発生条件：
- 気温25〜30℃の高温多湿環境で多発。
- 雨滴や潅水による泥はねが主な感染経路。
- 潜伏感染もあるため、無症状での進行に注意が必要。
従来の対策：
- 健全な検定済苗の使用。
- 苗の薬液ディッピング処理。
- マルチ敷設、点滴灌水による泥はね防止。
ナノバブル水による予防的効果が期待される点：
- 酸素ナノバブル水の潅水で根張りが向上し、植物体の抵抗性が強化。
- 苗や育苗資材のオゾンナノバブル洗浄によって初期感染を抑制。
- 導入農家からは「明らかに炭疽病の発生が減った」との声も。
ナノバブル水とは何か？農業活用の最新トレンド
ナノバブル水の特徴
ナノバブル水とは、直径数十ナノメートルの超微細な気泡（ナノバブル）を含んだ水のことで、従来のマイクロバブルよりも小さく、液中に長く留まりやすい特性があります。
主な特性：
- 長時間水中に安定して存在し、浮力が非常に小さい。
- 気泡破裂時にラジカルや衝撃波を発生。
- 溶存酸素量が非常に高く、根圏環境を改善。
- 使用する気体により用途が変わる（酸素・オゾンなど）。
農業での主な活用シーン：
- 潅水による根張り促進。
- 葉面散布による病原抑制。
- 苗の初期消毒・洗浄。
まとめ：病害予防の新常識「ナノバブル水」でイチゴ栽培をもっと強く、美しく。
イチゴ栽培におけるうどんこ病・灰色かび病・炭疽病は、長年にわたり農家を悩ませてきた3大病害です。
従来の薬剤防除には限界があり、環境配慮型農業やIPM（総合防除）の実現に向けて、「ナノバブル水」はそのギャップを埋める存在として今、注目を集めています。
病原菌への直接作用だけでなく、植物の健康を支え、収穫後の品質保持にまで効果が期待されるナノバブル水。化学成分を使用せず、安全かつ多用途に利用できるこの革新的技術は、今後の農業現場における必須ツールとなる可能性があります。
ぜひ、貴農場での導入をご検討ください。病気に強く、収量の安定したイチゴ栽培を、ナノバブル水とともに実現しましょう。